―逢瀬―

エトワールの働きによって聖獣の宇宙に四人目の守護聖が誕生し、聖獣の宇宙を全力で支えるアンジェリークの負担はかなり軽くなったらしい。
今日―土の曜日―に、ようやく彼女が人々の前に姿を見せられるようになったのだと、彼女との謁見を済ませたエトワールが神鳥の聖地に報告にやってきたのがつい先程の事である。

いてもたっても居られず、エトワールが他の守護聖の執務室に入った音を聴くや否や、
ルヴァは自分の執務室を早足で出る。

「……行くのか」

聴き慣れた声に振り向くと、闇の守護聖クラヴィスが穏やかな瞳でこちらを見ていた。
ルヴァの心情を察しているのだろう、先程の声は咎めるような響きを感じなかった。
だから、微笑んで応える。

「ええ。私はどうにも、彼女の事では堪え性が無いようですのでねー」
「フッ……お前は自分を抑えすぎる…むしろその位で丁度よかろう………」
「ありがとう、クラヴィス。それでは先を急ぎますので、これで失礼しますねー」
「ああ…」

ルヴァは再び、聖獣の宇宙へと繋がる次元回廊を目指して歩み出す。
逸る気持ちを抑えきれず、いつもより速く。
早く、アンジェリークを抱きしめに――



次元回廊を通り抜けて聖獣の聖地に着くと、出口の近くに、ずっと焦がれていた愛しい人の姿があった。
彼女だと認識した瞬間、他のものが見えなくなる。
二人だけの世界になる。

「アンジェ!」
「ルヴァ様ぁ…!」

距離がもどかしくて、自然に足が駆けていて。
次の瞬間には、柔らかな温もりを、腕の中に閉じ込めていた。
アンジェリークの肩口に顔を埋め、強く、強く、抱きすくめる。
今までも扉越しに話は出来ていたけれど、ずっと触れる事が出来なかった、最愛の人……
求めてやまなかった、その温もり――

「アンジェ…」

呼吸だけで、彼女を呼ぶ。
ぴくんと、小さくアンジェリークの肩が震える。
片腕は恋人の腰に回したまま、もう片方の手で、優しく栗色の髪を撫でる。

「…ルヴァ様…」

自分の名を呼ぶ愛らしい声に、滑らかな肌をした肩に埋めていた顔を上げ、至近距離で見つめ合う。
愛しさのあまり、涙が滲んでくる。
それは彼女も同じようで、熱っぽく潤んだ青緑色の大きな瞳の中に、自分の顔が見える。
触れたくて、両手で彼女の頬をそっと包み込んだ。

「ずっとあなたを、こうして抱きしめたかった…アンジェ」
「私も…今日はきっと来てくださると思ったら、部屋で待ってるなんてできなかった……
無理はまだするなって言われてるのにね」

くすっと微笑うアンジェリークにつられて、ルヴァも微笑う。

「私も先程報告を聞いたばかりですよー。あなたが部屋から出られるようになったと聞かされては、それ以上抑えることができませんでした」
「まあ…それじゃあ私たち、おあいこですね」
「ふふ、そうですねぇ…」


幸いな事に二人の再会を邪魔する者は、誰一人として居なかった。
というより、こうなる事を予期して聖獣の宇宙の優秀な女王補佐官殿は、宮殿の守護聖たちや職員たちに『今日一日、決して次元回廊付近には近づかないように』と指示を出していたのだが、それは今の彼らの知るところではなかった―――…


-Fin-

〜後書きという名の言い訳〜
ブログ再録小話です。頑張って激甘を目指してみました!BGMのせいであやうく裏行きになりそうな勢いでしたが(爆)
いやだって、『逢瀬』だし(^^;) 恋人同士でイチャついてたら、裏に行きそうになるのは仕方が無いと思います(←開き直るな)
読んでる方が悶えるほどにラブ甘なルヴァコレになっていれば幸いですv(笑)

2007.8.3 UP

ここまで読んで下さってありがとうございます

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